エアークローゼット(前編)定額制ファッションレンタルの裏側で、機械学習がどんな風に動いているか聞いてきた【AI company】vol.1

AI company

「定額制ファッションレンタルサービス」というビジネスモデルを聞いたことがあるでしょうか。エンジニアにとっては馴染みの少ないサービスかもしれませんが、おしゃれに敏感な女子たちの間では数年前から話題に上っています。

自分の情報をデータとして登録すると、最新のファッショントレンドを熟知したスタイリストが選んだお洋服が送られてくるサービス、『airCloset(エアークローゼット )』。

いつもオシャレに過ごしたいけれど、買い物に行く時間がない・・・。

似合う洋服がわからない・・・。

といった年齢やキャリアとともにライフステージが変わりゆく女性たちの悩みにフィットしたサービスです。2018年2月に3周年を迎え、ユーザー数は15万人を突破したとか。

そんな同社が実は機械学習をビジネスに導入していると聞き、株式会社エアークローゼット 執行役員CTOの辻 亮佑(つじ・りょうすけ)さんにお話を伺ってきました。

 

ファッションレンタルサービスに機械学習?

 

- 辻さん、本日はよろしくお願いします! 実は私も『airCloset』、ユーザーとして使っています。初期の頃は特に注目度が凄かったですよね。キャンセル待ちして、本登録まで2カ月ぐらい待ったかな。

 

 そうなんですね、ありがとうございます!

 

- 今回はAIエンジニアやデータサイエンティストを募集している素敵な企業へのインタビューということで、記念すべき1社目として貴社を選ばせていただきました!

エアークローゼットさんのビジネスは、特に男性にとっては馴染みのない方も多いと思うので、まずは事業について簡単に説明していただけますか。

 

 はい。一言で言うと女性向けのオンラインファッションレンタルサービスです。しかしもともと会社のミッションは「発想とITで人々の日常に新しいワクワクを創造する」。そのミッションに沿ったビジネスの一つとしてこの事業を営んでいます。なので、厳密に言うと「ファッションレンタル」にこだわりがあるわけではないんです。

エアークローゼットが目指すのは、「新しいお洋服とのワクワクする出会いをつくる」こと。

そのために、「一人一人の方の好みに合わせたお洋服を送る」というパーソナルスタイリングサービスをコアにして、定額レンタルサービスの「airCloset」、昨年10月から始まった「pickss(ピックス)」の二つのサービスを通じてお届けしています。

「airCloset」の特徴としては、サブスクリプションモデル(定額制)のレンタルサービスだという点。お洋服を返却していただくと、次の洋服が届きます。

お洋服は全てプロのスタイリストが選んでいます。それだけではなく、ユーザーが登録した情報やスタイリングに対するフィードバックコメントを全て確認して、その人のライフスタイルや好みに合わせて選んだお洋服をお送りしているんです。「パーソナルスタイリング」という言葉は最近普及が進んできましたが、まさにそれをオンラインでやっているイメージですね。

 

 

- 正直、airClosetと機械学習ってパッと頭の中で結びつかなかったんですが・・・機械学習やAIの技術はどういったところで用いているんですか。

 

 データサイエンティストはビジネス全体のPDCAに関与しますが、サービス提供のプロセスにおいて機械学習技術を用いているのはまずはスタイリストのアシスト部分ですね。最終的にお客さまに送る洋服はスタイリストが決定していますが、膨大な数の洋服の中から候補を何点か提案するアシスタントとして機械学習の導入を進めています。

今後はさらに領域を拡げていく予定です。今は実際にプロのスタイリストがやっている業務プロセスをブレークダウンして、一つ一つテスト的に機械学習やディープラーニングを入れて、テストを繰り返しているところです。

 

ー 今、組織としては何名ぐらいでやってらっしゃるんですか。

 

 正社員で約60名、 そのうち3分の1程度がエンジニアですね。

 

 

創業当初からデータ活用を意識して立ち上げたサービス

 

- 「機械学習の技術を活用してスタイリングの手間を減らしていく」という構想は、以前からあったんですか。

 

 はい、もちろんそうですね。データ自体を活用していくことを創業当初から意識していました。これまでファッション業界ではECサイトや実際の店舗がお洋服とお客さんのタッチポイントだったと思うんですけど、購入された後、実際にそのお洋服をユーザーが気に入ったかって、どこにもそのデータは保有されていなかったんです。

実店舗であればもちろん試着室の中で店員さんと話しているかもしれませんが、データとしては蓄積されませんし、ECサイトだと購入した後まで追うことはできません。

一方弊社のサービスの場合、スタイリストがお洋服を選んで、そのお洋服の感想をお客様からいただくことで、その次のスタイリストの選定に生かされるという特性があります。ほとんどの方が満足度をレビューしてくださっていて。

そういった「データを活用してビジネスを創造していきたい」という思いは、創業時から強く持っていますね。

 

- サービスについてもう少し教えてください。スタイリストがユーザーの写真や入力データを見て、お洋服を選ぶ。最初の選定は人力でやるんですか。

 

 はい、本当にほぼ人力ですね。もちろん登録された情報が、より見やすくなっていたりなどの工夫はあったりしますけど、基本的に全て人が選びます。

 

- その後のレコメンド的なところで機械学習を使っている、と。

 

 そうですね。

 

- 最終的に、どの洋服を送るか決定するところまで、機械学習やAIが担う可能性はありますか。

 

 決定する部分までは正直考えていませんね。AIの力は偉大ですが、「airCloset」の場合は、AIスタイリストを開発しても、最後は人間のスタイリストによるスタイリングをすることが必要と考えています。AIに期待しているのは、人間のスタイリストが高速・高度に判断できるようにアシストする役割です。

また、全てをAIが担うことでスタイリストとお客さまとのコミュニケーション機会が失われてしまうのも損失だと考えています。

毎回、「なぜそのお洋服を選んだのか」をスタイリストがコメントしているんです。先ほどお話ししたように、大半のお客様がフィードバックを返してくださっている。それらのフィードバックの中には、直接的にお洋服が気に入ったかどうかということだけでなく、ユーザー自身のライフスタイルについて触れられていたりしていて。そこにお返事するような形でのコミュニケーションも成立していたりするので、この部分まで全部今置き換えられるかというと難しいかなと。

人の温かみというか、そのサービスの裏側に人がいる、ということを感じられるのは、サービスとしても大事な箇所だと思っているので、全部自動化するということは考えていません。

 

 

「センス」は「知識」で説明できる?!

プロのスタイリストのロジックを機械学習に落とし込む

 

- スタイリングの領域ってかなり属人的な要素が高いというか、センスみたいな目に見えないものだと思っていたんですけど、その領域で機械学習を使うメリットとか面白さって、どういったところがあるんでしょうか。

 

 もちろん「センス」という部分はあるかもしれないですけれども、少なくとも一定のルールやパターンをスタイリストたちは持っているんです。ユーザーの特徴に合わせて選ぶ「選び方」はある程度ロジック化されていて、少なくともスタイリストの頭の中では考えている領域なので、そこを少しずつブレークダウンして機械学習に落とし込むことができるんじゃないかなと思っています

例えば二の腕が気になる方だったらそれを隠すためにどういう洋服がいいのかとか、そんなことですね。どちらかというとセンスというよりも知識を応用して反映していくところって結構たくさんあって。

あとは洋服の好みが似ている人は世の中に大量にいるので、似たような好みの人のデータを元にレコメンドをしていくということはできますね。これは他のECサイトも取り組んでいることですが。

あとはスタイリストごとに得意な領域などのももちろんあるとは思っているので、お客さまとスタイリストのマッチングも今後やっていきたいと考えています。

 

- ちなみに辻さんはエアークローゼットに入るまではどういったことをされてたんですか。

 

 私は大学時代は法律を専攻していました。なので全然技術畑とは無縁だったんです。エンジニアリングをしたいっていう思いはなかったんですけれども、たまたま縁があって入った最初の会社がSIerだったんですね。そこで一から開発を覚えたのがエンジニアとしての出発点です。

そうしたら面白くなってしまって、積極的にどんどん勉強するようになって。3年ほどその会社で働いた後、新しいチャレンジをしたくて楽天に転職しました。

楽天では主にフロントエンド開発を手がけ、色々なプロジェクトに参画させてもらいました。そういった中で次のキャリアをどうしようかなと思っているときに、弊社の代表の天沼に声をかけられたんです。彼も楽天出身で。彼が辞めるときに2人で飲みに行って、キャリアの話や手がけようとしている事業の話とかで意気投合して。

まずはボランティアで手伝って、やっていく中で徐々に、お互い一緒にやりたいということでエアークローゼットに正式に移ったっていうところですね。

 

ありがとうございます。次回(後編)では、エアークローゼット さんの社風や働きがいについてさらに迫っていきたいと思います。

 

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