【AI company】vol.2 株式会社シナモン(前編)
曖昧な人間の「感覚」を把握できるAIとは?

AI companyは、AI・機械学習エンジニアにとって働きがいのある企業を紹介していくシリーズ企画です。

 

巷では「人工知能が人間の仕事を奪う」というネガティブな考え方が根強いが、「奪う」のではなく、「代行する世の中に」と考えたのが株式会社シナモンの平野未来(ひらの・みく)CEO(TOP画像中央)です。

働き方改革が叫ばれる中、労働生産性や豊かな生活を保ったまま働き方を変えるには、労働時間の削減によってあふれ出た仕事を人間以外の誰かがしなくてはなりません。それを引き受けてくれるのが「人工知能」だと平野CEOは語ります。

株式会社シナモン コーポレートサイト

 

同社では現在、「日常的に発生する無駄な業務をなくし、人が創造性溢れる仕事に集中できる世界を目指す」をコンセプトに、人工知能に関連するプロダクトやコンサルティングを行っています。ベトナムに大規模なAIラボを構え、50名以上のAIエンジニアが開発業務に従事。将来的には500名態勢を目指しており、優秀なエンジニアをマネージする人材も求めています。

 

今回はそんな同社の平野さんに、会社設立の経緯やプロダクトの詳細を聞いてきました。

 

人間が豊かさを保ったまま、働き方を変えていくために

 

- まずは御社の事業内容を簡単に紹介していただけますか。

 

平野 当社では、機械学習やディープラーニングを活用し、人工知能に関連するプロダクト開発やコンサルティングを行っています。テーマは「ホワイトカラーの業務効率を高める」こと。

最近は「働き方改革」が叫ばれていますが、私も以前から、日本人の働き方について疑問を感じていました。そのため、人間らしい働き方や生き方ができる世の中にしたいという思いが大前提としてあります。

ただ一方で、そうした働き方は労働生産性の低下を招き、生活のクオリティを下げてしまう危険性もはらんでいます。

豊かな生活を保ったままで人間が働き方を変えていくためには、人間の代わりに誰かが働かなければなりません。私たちの技術によって、人工知能がその「誰か」になることができれば素晴らしいな、と考えています。

 

- 会社設立に至った経緯を教えてください。

 

平野 私は大学院修士課程で人工知能の研究をしていました。当時はレコメンデーション・エンジンなどを開発していまして、それらの実績をもとに学生起業したんです。

ところが、当時は今のように人工知能の認知度が高くなかったために思うような業績が残せず、しばらくして事業継続を断念しました。

しかしここ数年、人工知能の勢いが盛んになり、追い風が吹いているように感じましたので、このチャンスを逃してはいけないと原点回帰しました。

 

- 他の経営陣とはどのようなつながりでいらっしゃるのでしょうか。

 

平野 CAIO兼チーフAIオフィサーの堀田は学生時代からの友人で、最初の事業も彼と一緒に興したんです。

COOの家田はビジネス系オペレーションの経験が豊富であることから、経営に参画してもらいました。その他、当社の事業を応援してくださる投資家の方々がアドバイザーを努めてくださっています。

 

シナモン社の経営陣

 

ホワイトカラーの業務効率を高める、高精度な3つのプロダクト

 

- 既に公表しておられるプロダクトについて詳しく教えてください。

 

平野 現在、「Flax Scanner (フラックス・スキャナー)」、「Lapis Engine (ラピス・エンジン)」、「Scuro Bot (スクロ・ボット)」という3つのプロダクトがあります。

その中でも主力製品となっているのが「Flax Scanner」で、これは、申請書やドキュメント、あるいはEメールなどから情報を正確に抜き出し、新たなドキュメントを作成するシステムです。

最大の特長は、不定形のドキュメントでも読み取ることができること。これまでAIは、定型フォーマットでなければ情報を抽出することはできませんでした。例えば、日本人の持つ運転免許証であれば、共通のフォーマットが使用されていますよね。その中に記されている氏名や住所、生年月日をAIが抽出することは容易です。ところが、住民票は自治体によってフォーマットがまちまち。記されている情報は同じなのに、フォーマットが不定型だと、既存のAIやオートメーションでは情報を抽出することができないんです。

でも、ホワイトカラーが扱う書類はたいていが不定型で、一緒のもののほうがむしろ少ない。そうした様式がばらばらの文書であっても、記された情報を意味理解し、構造化した上で整理し、管理システムに自動で入力するものが「Flax Scanner」です。

 

- なるほど。では、「Lapis Engine (ラピス・エンジン)」はどういったものでしょうか。

 

平野 ユーザーや商品情報を多次元ベクトル化することで、単純な自然言語処理や協調フィルタリングでは実現できない高い精度のレコメンデーションを実現するものです。レコメンデーションというと、Amazonの協調フィルタリングが有名ですが、そうした協調フィルタリングが有効性が低い場面がたくさんあります。例えば不動産情報や転職情報などがそれ。

協調フィルタリングは「この商品を買った人はこの商品も買っています」といった具合に、1人の人が色々な情報にアクセスすることを前提にして作られています。

しかし例えば、賃貸物件などは数年に一度のため、賃貸物件などを探すユーザーのアクセス情報などは十分ではありません転職情報も似ているところがあり、基本的に1つの人材募集については、1名の人材しか募集していません。人気の求人ばかりがお勧めされても、実はレコメンデーションの効率が悪いんです

当社のレコメンデーション・エンジンは、そうした場面においてもレコメンドができる仕組みを実現しました。各ユーザーや各商品に小型のAIを積み、それぞれが最適化やゲーム理論を発生させているような形で、各ユーザーや各商品にとって、あるいは自分にとっての情報最適化、かつ最大化をシミュレーションしています。

加えて、当社は自然言語を得意としていますので、通常であればキーワードマッチしかできないようなマッチングも実現しています。

例えば、広尾や高輪、白金って高級住宅地のようなイメージがありますよね(笑)。そうした、AIが不得意とするあいまいな人間の感覚を、当社のエンジンであれば把握することができます。

 

- もう1つのプロダクトである「チャットボット」も自然言語に対応しているところが強みだと伺いました。

 

平野 はい、完全な自然言語で対応しています。

他社のチャットボットでは、「はい・いいえ」といった答え方をしたり、URLを提示したりするだけのものが多いように思います。

そうすると、人間としては「ぶつ切りのコミュニケーション」であるように感じてしまうんです。聞いて答えて終了、聞いて答えて終了、のようなイメージです

しかし、当社のチャットボットは完全な自然言語でやりとりすることを特長としており、会話の文脈を読みながら答えていきます。

チャットボットが質問を受けると、次に人間がするであろう質問を予測するんです……次にくるのは、質問Aが70%、質問Bが20%、質問Cが10%といったふうに。

そうしてコミュニケーションを図っていくので、他社のチャットボットよりナチュラルで、人間に近いと思います。

 

- プロダクトの開発と共に、コンサルティングも行われているとおっしゃいました。

 

平野 当社が最終的に目指しているのは、世の中にある面倒な作業を全てなくすこと。

当然ながら、今提供している3つのプロダクトだけでは全てなくすことはできませんので、将来的にプロダクトのラインナップを増やすための布石としてコンサルティング事業を行っています。

 

- よりニーズにかなったプロダクトを開発・輩出していくために、コンサルティングを通じてマーケットを把握していこうと。

 

平野 はい。学生時代に創った会社は、非常に優秀なエンジニアが集まっていました。そうした技術オリエンテッドな会社ではよく、「これだけ素晴らしい技術を作ったのだから、必ず誰かが使ってくれるだろう」といった過信がありますよね。マーケティングやターゲットを深く考えずにビジネスを推し進めた結果、リリースしても引き合いが全くないというトラップにはまります。

私も若い頃、そのトラップに引っかかってしまい、2~3年かけて研究開発したものが売れないという苦い経験をしました。そこで当社ではマーケットニーズが存在するところに対して技術を投下していくことを念頭に置いています。

とはいえ、私たちはマーケティングの専門家でもありませんし、人海戦術のような営業をしていくような会社でもありません。一番に技術ありきの会社でありたいという思いは持ち続けています。

 

- ありがとうございます。次回はエンジニアが働く現場について詳しく聞いていきます!

 

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Posted on 2018年4月4日 in INTERVIEW, 企業・サービス

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