澪標アナリティクス株式会社(前編) 「顧客の利益」にこだわり続けるからこそ面白い案件が集まってくる 【AI company】 vol.5

AI company

データマイニングによって企業の課題を解決し、ROIを向上させることを得意としている澪標アナリティクス株式会社。澪標(みおつくし)とは元々、座礁の危険がある浅瀬に立てられ、船舶に安全な航路を示す指標のことを言います。

企業という船舶がビジネスという大海で座礁してしまわないよう、安全な航路──事業戦略を打ち立てる。そして、AIというマストを巧みに操り、時代の追い風を企業の推進力に変えてゆくのが同社のポリシーです。

代表取締役社長の井原渉(いはら・わたる)氏は、10年以上もデータマイニングを研究してきた第一人者。知見や経験を活かし、クライアントのビジネスを支援しています。

 

法学部、国際政治専攻。
文系の学生だった井原氏がAIの世界に足を踏み入れたきっかけ

 

- はじめに、御社の事業内容を教えてください。

井原:主な事業としては3つあります。1つめはゲーム業界に特化したサービス。ゲーム会社からデータをお預かりし、ユーザの行動などを分析して、課金率向上や離脱防止のための施策をコンサルテーションするもの。

2つめはAIの受託開発。人工知能の機械学習などを試作・開発しています。

3つめはプロジェクトマネジメントの支援。メガバンクや大手自動車会社などで進められているプロジェクトがスムーズに進行するよう、管理するサービスです。AI開発やプロジェクトマネジメント支援は大手企業が顧客となりますので、ホームページでは大きく取り上げていませんが、この3つをコア事業としています。

 

- 会社設立に至るまでの経緯を聞かせてください。

井原:元々この事業は、私が大学で研究するかたわら、フリーランスとして興したものなんです。

本当は法人化するつもりはなかったのですが、大手クライアントからオファーがあり、「個人事業主では契約ができないから法人化してほしい」と要請されたため、会社を設立したんです。

 

- 研究員時代はどのような研究を行っていたのですか?

井原:データマイニングのビジネス応用に関する研究をしていました。

 

- そもそも、井原さんがAIの分野に進んだきっかけは?

井原:実は、大学時代は法学部で国際政治を専攻する文系学生だったんです。何が正解で、何が間違いなのか、はっきりしないことを学んでいたんですよね(笑)。

 

 

- 文系だったんですか!AIとは畑違いのように思えますが…。

井原:はい(笑)。あるとき未来予測をしようということになったんですが、文系の未来予測って「現状が○○なので、将来はこうなると思います」というあいまいな予測しかできないんです。そのうえ学生同士でディスカッションすると「僕はこう思う」「私はこう思う」って感じで意見が分かれて、結論が一層混沌としてくる。

でも文系であっても「こういう文脈だからこういう結論になります。なぜなら、過去の数値ではこういうパーセンテージになっていたからです」とか、「ある説明変数が追加されると○○になる確率がXXパーセント上がります。説明変数が追加される確率はYYパーセントで、期待値はZZくらいです」というように、数的根拠を持って説明できれば完璧だと考えたんです。

それで経営学部や経済学部、理学部の授業にもぐりこんでベイズなどの勉強を始めたんですが、理系・文系の壁が支障になって専門的な研究ができませんでした。そこでオックスフォード大学に留学し、統計学の研究をすることにしたんです。オックスフォード在学中は、保険に関するテレマティクス保険のモデルを作っていました。

 

- 帰国後、大学の研究職に就くと共に、この事業を開始した、ということですか。

井原:もう少し細かい話をすると、実は、大学在学中に起業した経営コンサルティング会社がもう一つあって、帰国後すぐはその会社でビジネスをしていました。事業内容としては、すごく簡単にいうと「日本に進出する中国企業をサポートする仕事」です。

その時扱っていたのは主にマーケティングリサーチ。

「このターゲットにはこれくらいの確率でこの商品が支持されるだろう」といったあいまいなものではなく、今で言うビッグデータを使い、数的根拠をもってターゲットの傾向を示すものでした。

例えば、「辛(から)い色」と言われて日本人が思い浮かべるのは「赤色」ですよね。しかし、中国で赤色が示すのは「熱い」もしくは「甘い」。そのように、日本人のイメージでは間違った伝わり方をしてしまう恐れがあるものを、数的根拠を用いて示していたんです。

その会社の仕事をしながら、データマイニングの仕事もフリーランスで受けていて。しかし冒頭でお伝えした通りフリーだと大手企業と契約を結ぶのに支障があったため、このマーケティングリサーチの会社とは別に法人化して澪標アナリティクスを設立しました。

 

ゴールは「お客様が儲かること」。だからこそ手段にはこだわらない!

- 同業他社とは異なる、御社ならではの「強み」はどういったところでしょうか。

井原:当社の経営方針でもありますが、お客様のビジネス課題に直結したデータマイニングを提案できるところかと。

簡単に言えば、「お客様が儲かるためのAI」を作れるということですね。

お客様を儲けさせることが最終ゴールなので、テキストマイニングや画像処理、ディープラーニングといった「手段」にはこだわっておらず、何でも手掛けます。

「課題ははっきりしている、でも何をどうしたらよいか分からない」といった悩みを持つクライアントさんの案件は大好物ですね(笑)。

逆に、単なる調査研究のみに落ち着いてしまいそうな案件や、特定の手法を使って特定のデータを分析し、あらかじめ定められた結果を残すことがゴールとされているような、プロセスや手法がすでに決まってしまっている案件はお断りしています。

 

- これまでの実績で、面白かった、お話しできる事例があれば教えてください。

井原:いくつかありますが、例えばマッチングエンジンを作る案件は面白かったですね。

これは、複数の同業者が挑戦してきたものの失敗したプロジェクトで、クライアントも「さすがに無理ですよね……」と最初から諦めムードだったんです。

検証したところ、クライアントが考えたやり方のままでは当社でも実現できないという結論に達したのですが、業務設計からやり直し、クライアントの業務フローを少し変更させていただければ、彼らがやりたいことをドンピシャで実現できることが分かったんです。

結果的にそのプロジェクトは成功し、大きなROIを達成しました。

 

- ありがとうございます。後編では、澪標コンサルティングさんで働く方々にフォーカスしてお話を伺っていきます。

 

後編はこちら:「澪標アナリティクス株式会社(後編) 優秀なデータサイエンティストを未経験から育てることができるのはなぜ? 【AI company】 vol.5

 

澪標アナリティクス株式会社 : http://www.mioana.com