澪標アナリティクス株式会社(後編) 優秀なデータサイエンティストを未経験から育てることができるのはなぜ? 【AI company】 vol.5

AI company

データマイニングによって企業の課題を解決し、ROIを向上させることを得意としている澪標アナリティクス株式会社。後編では、今年1月に同社に入社した、CFOの根岸さんにも同席していただき、働く方々から見た同社について聞きました。(前編はこちら

 

独自の育成ノウハウを磨き上げることで、人材獲得競争に巻き込まれない体制を作る

- いわゆる「使い物になる」データ分析人材の不足が、いたるところで叫ばれています。御社では未経験でも可、という話を聞いたんですが本当ですか。

根岸:はい、うちは未経験でも可、というかどちらかというと歓迎しているくらいです。
昨今は本当に、AIバブルのような様相を呈していますね……。大手企業ではデータサイエンティストを囲い込むべく高額な給与を提示していますが、私たちはそうした人材獲得競争に付き合うつもりはありません。

採用した企業側の観点からその人件費に見合うROIも出しにくいですし、何より採用された従業員の観点からは、きちんとした成長に見合わない給与は将来的に不幸になってしまうと思います。

当社は株式会社バンダイナムコエンターテインメントの出資も入っていて、レベルの高い分析の案件が継続して入ってくるため、収益性は安定しています。そのため、未経験者であっても時間をかけて育成する余裕がありますし、育成ノウハウもありますから。

- 自社独自の育成ノウハウがあるというのはかなり大きいですね。どういったものなんですか?

根岸:未経験で入った人にはまず、ゲーム部門でスキルを積んでもらいます。
ゲーム部門ではゲームのリアルなビッグデータを題材に多くを学ぶことができます。

具体的には、①SQLを用いた集計、②統計学や多変量解析、③プレゼンテーションスキル、④コンサルティングスキルを学ぶことができます。客先に常駐して言われるがままSQLを書いて終わり、データを抽出・集計して終わりではなく、そこから先の様々なスキルを学んでいけるのはバンダイナムコエンターテインメントと関係のある当社ならではだと思います。

ゲーム部門でも機械学習を分析に使うこともありますし、希望と適性に応じてAI開発チームに異動することも可能ですので、アナリストのみならずサイエンティストとしてのキャリアパスもご用意できる点も弊社の強みです。

井原:大学との関係性に強みもあります。現在15名ほどの従業員がいますが、大学との共同研究を4本進めているんです。
ベンチャーにもかかわらず複数の共同研究が進められるのは、例えば最新の論文を読んでいて、当社のクライアントに実装できそうなものがあればすぐに話を聞きに行き、大学に共同研究を提案しているからなんですよ。
また、共同研究の中では、大学の先生方に従業員教育もお願いしています。

 

- 実データを扱いながらコア技術を学び、アカデミックな研究にも触れる…。かなり鍛えられそうですね。

井原:そうだと思います。かつて当社に未経験で入った人が、後に転職して大手IT企業に入社し、今では20代にもかかわらず、大手外資系IT企業のデータ分析部門で部長として働いているという事例もあります。

当社としては貴重な人材を失うことになりましたが、大手IT企業の要職に就ける人材を育成・輩出できたことは誇りに思っています。

 

- 例えば、現在WEBエンジニアやアプリエンジニアといった職種に就いていて、AIの経験はないけれども機械学習には興味がある、という人でもエントリーできますか?

井原「Pythonって何ですか?」という人はさすがにつらいですが(笑)、「Pythonって面白いですね」という人ならOK。SQLが書けて、データが抽出できれば条件はクリアしています。

マーケターや企画出身の方で、SQLを書ける人なら適任かもしれません。あるいは、統計学は使ったことがなくてもExcelですごくきれいなグラフを作れる人とか。マーケターや企画出身の方なら、クライアントに結果だけを報告して終わり、では許されないことが分かっていらっしゃるでしょうから、クライアントのROIにアプローチするという当社の方針はすぐに理解していただけると思います。

 

大手金融機関でM&Aを手掛けていた根岸さんがジョインを決めた理由

- ちなみに、CFOの根岸さんはまだ入社されて5ヶ月ほどだとか。前職は何をされていたんですか。

根岸:はい。前職は金融機関でM&Aを担当していました。今の仕事とは全くの畑違いですね(笑)。

 

- へぇ、それは面白いですね(笑)! 入社の決め手になったのはなんだったのでしょうか。

根岸:シンプルに、澪標のビジネスがすごく面白そうだったからです。

「手法に拘るよりもお客様の課題を解決しお客様にメリットを出す」という井原のビジョンに共感しました。
また、大手企業の案件もたくさん手がけていて利益もだしているのにIPOに拘ることなく、澪標の事業を素直に楽しめそうだな、と感じました。

 

- 実際に入社されて、どのように感じられましたか。

根岸:担当者に同行し、クライアントを訪問することがありますが、例えばゲームアプリの売上がとても増えたと言って喜ばれているお客様の姿を間近で感じると、価値の高い分析を提供できているな、すごい会社で働いているんだな、と実感できます。

新しく入ってくださる方にも「良い会社に入ったな」と感じていただくために、経営管理を充実させ、人事評価制度なども整えていきたいと思っています。

 

- 職場の雰囲気はどうですか。根岸さんはまだフレッシュな視点で見れるでしょうから、ぜひ正直なところを(笑)。

根岸:いわゆる「ベンチャー企業っぽい」感じはないですね(笑)。結構黙々と仕事していて、みんな本当に分析が好きで仕事を楽しみながらやっていることは伝わってきます。
あと、自分のタスクを決められた期限までにこなせばいいので、比較的自由な働き方ができていると思います。

 

 

- 今、御社で働いている方の中にも、根岸さんのように異業種出身の方はいらっしゃるんですか。

井原:多くいますよ。むしろ、分析会社からの転職者の方が少ないですね。経営企画部門の出身者やコンサル部門の出身者、元システムエンジニアなどがいます。

また、畑違いというわけではありませんが、大学で機械学習を専攻し、データサイエンティストとして大手のSIerに入社した人、そこではBIを作ったり、データ集計ばかりをやらされて機械学習が全くできなかったという人も。当社では機械学習で「ビジネス」ができるので、嬉々として仕事をしていますよ。

 

- 今後の展望を最後にお願いします。

井原:「面白いこと」を機軸にビジネスを展開していくつもりです。

面白くないこと、細かいことには興味を抱かずに、ただ面白いことだけをやる。

当社はバンダイナムコエンターテインメント以外からの出資を受けていませんので、ベンチャーにありがちな株主に翻弄されることもありません。

会社の規模を大きくしたり、上場したりすることで面白いことができなくなるなら規模拡大も上場もしないつもりです。追い求めるのはみんなにとって面白いこと、それだけです。

今、AIはブームになっています。しかし、当社はブームになっているからAIを手掛けているのではなく、「お客様のROIを追求したらたまたま手法がAIだった」んです。

何をもって面白いと思うかは人それぞれ。
AIの使い道を考えることが面白いという人もいれば、お客様のビジネスにコミットしていくことが面白いと思う人もいます。

あるいは、大きなビジネスを動かしていることに面白さを感じている人もいるでしょう。
しかし、ブームの最先端にいることが面白いと思うのは間違いで、その考え方だとすごく浅いことしかできません。

私は機械学習の世界に13年いますが、どれだけ長く関わってきたかは、どれだけ面白いことができるかに直結します。ブームを追いかけていくのも一つの道ですが、マニアックに深く手掛けていくこともゾクゾクするくらい面白い。
それが結果としてブームになれば最高ですよね。

 

- ありがとうございました!

 

前編はこちら:「澪標アナリティクス株式会社(前編) 「顧客の利益」にこだわり続けるからこそ面白い案件が集まってくる 【AI company】 vol.5」

澪標アナリティクス株式会社 : http://www.mioana.com