私たちは機械学習エンジニアの方々向けに、日々、様々な転職活動支援を行なっています。今回は転職活動の基本プロセスを追いながら、転職エージェントだからこそわかる「現場的な話」をしていきたいと思います。
一言で転職活動といっても色々なやり方があります。一番わかりやすいのは転職サイトへの登録ですね。他にもWantedlyなどを活用して自分で企業の担当者に会いに行ったり、最近ではTwitterで転職活動をしたりと、選択肢は多岐に渡ります。
今回はその中でも、「転職エージェントを使う場合のプロセスとポイント」を書いていきます。なぜ転職エージェントの利用をオススメするかは、長くなるので機会があればまた記事にしたいと思います。
さて、転職活動の具体的なプロセスは以下。ここまでは想像がつくと思います。
1)転職エージェントに登録をする
2)エージェントと面談をする
3)企業(求人ポジション)の紹介
4)面接
5)最終面接
6)入社
それでは早速、それぞれのプロセスごとのポイントをまとめていきましょう。
1)転職エージェントに登録をする
最初に、転職エージェントを選んで利用登録します。このプロセスで何よりも重要なのは、「相性の合うエージェント(担当者)」と出会うこと。
正直言って、転職エージェントを選ぶ時に重要なのは担当者です。
- 話だけはたくさん聞いてくれるが、ほとんどポジションを紹介してくれない
- マッチングだけして準備はほとんど候補者任せ、レジュメへのフィードバックもほぼなし
- 自分の希望やキャリアプランにマッチしたポジションを紹介してくれている実感がわかない
これらは転職活動の際に候補者の方が感じる不満としてよく挙げられるものですが、全て担当者との相性が悪いことが原因です。
転職エージェントの企業規模はあまり関係ありません。大手企業のほうがデータベースを持っているため紹介してもらえる企業数が多いという考え方もありますが、機械学習エンジニアの場合は企業数を多くカバーしていることより、どちらかというと業界内の情報をいかに多く持っているかの方が重要です。
広く浅く手がけている大手よりも業界特化型のエージェントの方がより新しい情報や非公開情報、面白い会社の情報を持っていることも多いです。
そしてもう一つ大切なのは、これは「あなたの」転職活動であるということ。
あなたの要望を丁寧に吸い上げて、あなたの価値をきちんとわかってくれて、あなたの人生を考えてお仕事を紹介してくれる担当者と出会えるかどうかで、転職活動の成否はほとんど決まったも同然です。
また、転職活動のポイントとして、
「転職活動を行うと決めたら、ある程度、工数を確保して集中して行う」ことを勧めています。
だらだらと時間をかけて中途半端に取り組んでも望む結果はなかなか得られません。
せっかく「転職しよう!」と決めたのであれば、より良い未来を手にするために情報収集や事前準備を積極的に行い「肉食系」に転職活動をすることをお勧めします。
転職エージェントは最終的に1人(1社)に絞ったほうが効率が良いと思いますが、まず登録する段階においては2〜3社登録してみて、複数のエージェントに会ってみるというのも良いと思います。
2)エージェントと面談をする
登録が完了すると、エージェントとの面談がセッティングされます。
このプロセスで大事なのは「客観的なフィードバックをもらうこと」と「エージェントの見極め」。
フィードバックをもらうために事前に資料は作っておこう
「客観的なフィードバックをもらうこと」は、その後の転職活動をスムーズに進めるためにも、エージェントの見極めをするためにも非常に重要です。そのためにも、手ぶらで面談に臨むのはもったいないです。面倒でも「職務経歴書」と「履歴書」を事前に作って持っていくようにしましょう。
2つの書類を作る理由は単純で、機械学習エンジニアの場合は学歴とキャリアサマリーの両方が見られるからです。
「後から作ればいいや…」と考えている人も多いのですが、この面談で書類へのアドバイスをしてもらったり、自分でも気づいていないような市場価値をフィードバックしてもらえる可能性もあります。
特に職務経歴書は書くのが難しい部分も多いと思うのですが、プロジェクトの内容だけでなく、自分の情熱を含めたセールスポイント(7行〜10行くらいが望ましいです)、キャリアサマリーなどを一度きちんと文章にしてみることをお勧めします。
また、どういう分野で活躍したいかも明確にしておくといいでしょう。
その際には「産業」と「データの種類」の2つの軸で考えておきます。
例)医療業界の画像認識 など。
エージェントを見極めるポイントは3つ
エージェントとの面談では、実際に話して感じた印象とともに、以下のような点を見てみるといいと思います。
- 業界に対する理解がどれくらいあるか?
- セールススキルがどれくらいあるか?
- 提案力・診断力があるか?
まずは「業界に対する理解がどれくらいあるか?」。
例えばTeam AI Careerでは、毎週実施しているTeam AI での勉強会などを通して、マニアックなほどにAI・機械学習業界を深掘りしています。勉強会の参加メンバーが4000名を超えた今、アカデミア・大手企業・ベンチャー企業など組織形態を問わず、私たちのコミュニティは様々な最新の情報が集まるプラットフォームに育ってきた実感があります。
幸せそうに働いている研究者やエンジニアの方々もたくさん見ているので、そういった方々が所属する企業さまの情報を目にするにつけ「こういう会社(研究機関)にはどんどん候補者さんを紹介したいなぁ」と日々思っています。
ちなみに一般的な転職エージェントでは、「自然言語処理」「Python」などのいわゆる「業界用語」を30~40個理解していればエージェント業自体は成立すると考えられているようです。
どこまで業界のことを深掘りするかはエージェントの性格や企業の方針によってもまちまちなので、ここもまた、自分と相性が合うかどうか、話しやすいかどうかを考えるといいでしょう。
次に「セールススキルがどれくらいあるか?」。
これは、候補者であるあなたのことを企業側に売り込むスキルがどれだけあるかを指します。
できる営業マンは聞き上手、とよく言いますが、「候補者の話を決めつけずに聞いてくれる」という点は非常に重要だと思います。
じっくり話を聞いた上で「あなたのこういう強みがこの会社に合うと思いますよ」と仮説を立ててくれるところまでいけば、面談の内容としては濃いものだったと言えるのではないでしょうか。
最後に「提案力・診断力があるか?」。
Team AI 代表の石井は、候補者の方との面談を「健康診断」と表現していて、なるほどなと思いました。業界における候補者の方の市場価値を、エージェントの立場から客観的にお伝えする。
その上で、候補者の方自身が気づいていなかった方向性も含めて提案してくれる。
こんなエージェントに出会えたら転職活動が一気にワクワクするものになりますね。
3)企業(求人ポジション)の紹介
面談後、早ければその日のうちに(!)エージェントから企業(求人ポジション)の紹介が届くと思います。
さぁ、いよいよ転職活動が始まりました。
ここからは色々な考え方があると思いますが、基本的にはよほど自身の方向性と合わないと感じない限り、一度面接に進んでみることをお勧めします。ウェブサイトを見ただけではピンとこないような会社でも、実際に足を運んでみるといい会社だった、というケースは枚挙にいとまがありません。
特にこの業界では、機密事項が多く、サイトに掲載できない情報も多々あります。
情報収集のためだけの問い合わせなどを排除したいという理由などにより、開発の内容についての情報露出をできるだけ少なくしている会社さんも少なくありません。
また、その会社のカルチャーやオフィスの雰囲気はその場に行かないとわからないため、実際にオフィスにいくのが結果的に一番効率がいいと思います。
ちなみに、候補者の方から面接希望のお返事をもらったら、エージェントは分析レポート(その候補者さんが適していると思う理由・推薦文)を添えて履歴書・職務経歴書を企業宛に提出します。
書類選考に通ったら、いよいよ面接となります。
長くなるので、続きはまた次回。