ウェブ接客を切り開くサービス「ZenClerk」
こんにちは。TeamAIのリサーチチームです。
今回はECの分野でAIを有効活用しているサービスをご紹介します。
Emotion Intelligence株式会社が提供している「ZenClerk(ゼンクラーク)」は、Web上での人の動きをAIによって察知し、コンバージョン率(訪問者数に対して人が商品を買った率)をUPさせるサービスです。
同社は「ウェブ接客」とは集客効果の最大化とUXの向上を実現するものと述べています。
Web上で買い物をすることは、ECが当たり前になった現在においてごく日常的なこととなっていると思います。私もよく日用品や服などを買ったりします。
しかし「Web上での接客ってなんだろう」と不思議に思いました。
ECでの買い物といえば、例えば靴を買う場合、接客として思い浮かぶのは日用品などよりも様々な角度で取られた写真が多く掲載されていることくらいです。それでも、親切ではありますが「接客」ではないのかなと感じています。
同社のサービスは、サイトに訪問したユーザーが購入を迷っている時に、クーポンなどのオファーを表示することにより購入の最後のひと押しをしてコンバージョン率を上昇させるといったものです。
具体的には、画像を注視したり、値段やサイズ、レビューを確認したりしているユーザーに対して、Webクーポンを発行します。タイムリミット付きにすることによってさらに購買意欲をかきたてることができるそうです。
技術としてはマウスのスクロールの動き、画像のクリックなどを0.05秒間に1回蓄積します。そして、ユーザーの行動から購入を迷っている利用客を抽出し、適切なタイミングでクーポンを発行するそうです。アルゴリズム生成のためには一定数以上のCVデータが必要になります。
顧客のデータを学習して施策を打つことは多いと思いますが、タイムリーに学習データを利用してクーポンを発行するのはユニークなサービスだと思います。迷っている時に値引き交渉をするとはまさに「接客」です。Web上で利用客が商品ページを見るだけの、一方通行的な買い物体験を大きく変えるものだと思いました。
何よりこのサービスが画期的なのは、「クーポンのバラマキ」を阻止できる点です。
誰しも経験があるかと思うのですが、いつもセールをしている、いつもクーポンが出ているなどのお店では、安い時にしか買い物しなくなるのではないでしょうか。
顧客を集めるためのクーポンの発行は有力な手ではあると思いますが、頻度によってはブランドイメージを損なうことにもなりかねません。
その点、ZenClerk(ゼンクラーク)では、「購入を迷っている顧客」のみに対し、タイムリミット付きのクーポンなどのオファーの表示なので、ブランドイメージを損なうことなく利用客の利便性をUPさせることができます。運用コストが極めて低い点も企業側にとっては良い点でしょう。
ECにおいてレコメンド機能などはすでに馴染みのあるAIですが、Web上での接客が盛んになっていけばもっと便利な世の中になりますね。私もあれやこれやと買ってしまいそうです。
それでは。