(”秘密結社 鷹の爪”監督FROGMAN氏:後編)
AIは人類に幸福をもたらす「心のよりどころ」になっていく【AI people】vol.8

インタビュー

TBSラジオの情報番組「THE FROGMAN SHOW A.I.共存ラジオ好奇心家族」のメインパーソナリティ、FROGMAN氏へのインタビュー(前編はこちら)。

今回は、半年の番組制作を経て、今FROGMAN氏の目に映っている世界について聞きました。

 

 

教育やビジネスの現場に活かせる知識が身についた

 

──半年も毎日のように番組を続けると、「AI業界」の業界人並の知識がついたのではないでしょうか。

 

(FROGMAN)そうですね。毎日4時間、うちの奥さんと会話をするより圧倒的に長い時間、AIの世界に触れるわけですからね(笑)。

家庭で起こっていることはよく分からないけど(笑)、AIの世界で起こっていることはある程度理解できるようになりました。

 

──AIと私たちの生活は、まだまだ遠いものだという印象を持っている人も少なくないと思います。FROGMANさんの身近なところで、生活や仕事に変化は現れましたか。

 

(FROGMAN)会社で今後の方針を決定するための話し合いをする中、番組を通じて知った「STEM教育(※)」を提案しました。
論理的思考を育てるこの教育方針は、今後スタンダードになっていくと思います。
僕自身、小学生と中学生の子どもを持つ親として彼らの未来を考えてみると、今の子どもたちが世界に飛び出していくために有用な考え方になるんじゃないかな。

今や日本式の詰め込み教育はスタンダードではなくなりました。一方、人間本来の生きる力を育み、先を見通す力や心を育むことが重要性を増しています。

番組でも度々、STEM教育の専門家にお話を伺いましたが、「物事の道理を考えていくとこのような結果が生じるから、それに基づいて次はこういう行動を起こそう」と論理的に考える能力は、何も子どもたちだけに必要なものではありません。

社会人であっても、40代後半である僕自身も、今からでも遅くない、身につけるべき能力だと思います。だからこそ、会社でも取り入れたいと考えたんです。

 

※STEM教育
Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)を重視した教育方針のこと。オバマ大統領が一般教書演説等で優先課題として取り上げたことが広まるきっかけとなったと言われており、この四つの理数系の教育に力を入れることで、科学技術及びビジネス分野で国際競争力を発揮できると考えられている。

 

番組の人工知能ペット「ドッチ君」。天気予報や選曲などをこなす音声AI。

 

 

「AIは人類に幸福をもたらすものである」

 

──Team AI代表の石井もゲストとして取り上げていただきました。印象はいかがでしたか。

 

(FROGMAN)見た目、話し方、そして活動内容からしてテクノロジー系というより、お坊さんみたい(笑)。「この人は本当にテクノロジー系の人なのかな?」と最初は疑問に感じるくらい(笑)。

 

でも、AIって今、宗教みたいに広がっていますよね。僕もすっかり感化されてしまった一人ですが、AIは今後、人類の心のよりどころになっていくんじゃないかと思うんです。

AIと宗教とは異なりますが、AIが世界の人々に幸福をもたらすと考えれば、その牽引役は石井さんのような人がふさわしいのかも。

 

──AIが人類に幸福をもたらす?

 

(FROGMAN)はい。よく知らない人にとって、AIの話題はネガティブに聞こえることも多いと思います。例えば「AIに仕事を奪われる」とかね。

確かに、AIに仕事を奪われる人はこの先、現れるでしょう。でも、そのデメリットよりもメリットのほうがはるかに大きいと思うんです。

例えば、自動改札機の登場で、改札で切符を切る駅員はいなくなりました。自動販売機も同じ。店頭でジュースを売っていた人は仕事を失ったかもしれません。
でもそのことが人類全体にどれだけネガティブインパクトを与えたでしょうか。自動改札機や自動販売機の登場によって人類が得られたメリットのほうが大きいし、切符を切っていた駅員も、店頭でジュースを売っていた人も、他の仕事で活躍しているはずです。

 

僕自身も番組が始まるまで、AIに対してSFチックなホラー感を漠然と抱いてました。

でも、番組を通じて分かったことは、「AIは人類に幸福をもたらすものである」ということ。

19世紀に起こった産業革命以降、人間はしばしば機械のように「歯車」に喩えられてきました。

でも、AIが普及することによって、今まで機械的に行っていた作業や学習などを本当に機械に任せられるようになり、人間が人間らしい仕事に就ける時代が来るかもしれません。

 

例えば、掃除や洗濯をAIに任せることができれば、お母さんはもっと子どもに向き合うことができます。

同じように、テストの作成や採点をAIに任せることができたら、先生は生徒の表情をもっとじっくり見つめてあげることができるでしょう。

人をいたわったり、優しい言葉をかけたり、どうしたらもっと幸せになれるかをじっくり考えるなど、人間は人間らしい領域で本来行うべきことに本腰を入れられる。AIはそれを補完するものだと思っています。

 

──番組は3月末で終了します。残り1ヶ月を切りましたが、リスナーの方に「聴きどころ」を紹介してください。

 

(FROGMAN)残り1ヶ月なので、変なことを言っても怒られる心配はありません。だから、これまで以上に地のFROGMANがたくさん出てくると思いますよ(笑)。
リスナーさんが「そんなことまで言っちゃって大丈夫なの?」と感じるぶっちゃけトークも出てくるかもしれません。

また、AIからはみ出したような話題、例えば、僕が映画を商売にしていた頃のこぼれ話とかもしていくつもりです。この役者は売れてるけど実は性格が悪いとか、そういった裏話もちょいちょい披露していこうかな(笑)。

 

──楽しみにしています(笑)。ありがとうございました!

 

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