今回は特別企画として、TBSラジオの情報番組「THE FROGMAN SHOW A.I.共存ラジオ 好奇心家族」のメインパーソナリティである、”秘密結社 鷹の爪”監督のFROGMAN氏へのインタビューをお届けします。
週4回、平日の夕方に4時間の帯番組で、毎日「AIの話題をお茶の間に届ける」という、私たちから見ても無謀な(笑)取り組みをしてきたこの番組。専門家のインタビューや玄人向けのニュースなども多く、いわゆる「AI業界の人々」の中にもリスナーが多かったという印象です。
実は、代表の石井も含めTeamAIのメンバーも何度か出演しており、私たちにとっては非常に思い入れがあります。
この番組が3月末に放送終了してしまうので、FROGMANさんにお話を聞きたい! なんなら少しでも視聴率に貢献したい! と思い、取材を依頼したところ、快くお引き受けいただきました。
この番組は「AIとラジオの共存」を目指して始まったと、番組ディレクターの栗田さんは語ります。
メインパーソナリティは、アニメーター、映画監督、声優など多くの顔を持つFROGMANさんが務め、吉田くん、総統など『秘密結社鷹の爪』のキャラクターも登場します。
出演者からも想像できる通り、AI専門家が難しい技術を難しい言葉を用いて説明する番組ではなく、FROGMANさんやリスナーをはじめとするAI初心者がAIに近づき、共存のきっかけとすることをテーマとしています。
「なんで僕なんだ?」から始まったAI情報番組
──番組ディレクターの栗田さんに、先ほど少しお話を聞いたんです。
「点在する好奇心を拾い集め、お茶の間的切り口でリスナーに提供したい」ということで、先端技術への好奇心とお茶の間視点をバランスよく持ち合わせているFROGMANさんの起用を決めた、と。
番組からメインパーソナリティの要請があった時、どのようにお感じになりましたか。
(FROGMAN)いやぁ、そりゃあもうびっくりしましたよ。
当時はAIという分野に全く見識がありませんでしたから、オファーをいただいた時は正直「なんで僕なんだ?」と思いました(笑)。
──そう思われたのに、どうして依頼を引き受けられたのでしょう。
(FROGMAN)元々AIに興味はあったんです。SFというジャンルが好きでしたし、自分の作品の中でもAIをネタにした物語を描いたこともあって。
それにここ数年、AIの世界は賑やかになる一方ですよね。僕みたいに、AIに直接触れることのない生活をしている人間であっても、「AIが熱いらしい」という話題を耳にすることも多くなった。
パーソナリティとして番組に関わっていければ、自分も変わることができる、AIのことを理解できるようになるんじゃないかな、と考えたんです。
また、企画自体にも面白さを感じました。AIの専門家が登場し、難解な言葉を使ってとうとうと話す、という趣旨の番組ではなく、「生活者目線でAIを見たらどうなの?」っていうところが。
AIについて何も知らない40代の一般男性がAIをどう理解していくのか、それをリスナーの方々に受け取ってもらえたらいいなと。
──放送開始から半年が経ちました。半年前と今とを比べ、AIに対する考え方は変わりましたか。
(FROGMAN)めちゃくちゃ変わりましたね(笑)。
アニメ作りなんかやってる場合じゃないとさえ思っています(笑)。AIに限らずテクノロジーに関する理解が進みました。
今は「デジタルなもの」と「デジタルじゃないもの」という分け方をすること自体がナンセンスだと思っています。アニメを作るにしても、映画を作るにしても、あるいは絵を描くにしても、今はあらゆることがデジタルと切っても切れない関係にあります。そこにAIという技術を加えると、もっと世界が広がる、もっと面白いことができるということを、番組を通じて学ばせてもらいました。
Pythonを勉強して自作AIに挑戦中
──具体的にFROGMANさんに及ぼした影響などはありますか。
(FROGMAN)実はこの番組を通じて、僕自身がプログラミングの勉強を始めたんですよ。
ゲストの方々から教えていただいて、プログラミングのためのeラーニングサイトがあることも知りましたし、「AIを作るんだったら『Python』を勉強しなきゃダメ」だとか、「アプリケーションを作るんだったら『Unity』を知っておくといい」など。
そこで、自分でも色々と試しています。
──Pythonを勉強されているんですか。すごい!
(FROGMAN)自分でもAIを作ってみたいんですよ。
僕は元々、映画やドラマなど実写映像の世界にいた人間でしたが、13年前に「Flash」というテクノロジーに出会い、興味を持って学んだことでアニメーターとしての世界が広がりました。
その時と同じように、Pythonを僕なりに学んでいったら、今とは違う景色が見えてくるんじゃないかという期待があります。どんなAIを作るのか、まだ明確なビジョンはないんだけど。
僕はやる前に考えるタイプではなく、やりながら考えるタイプの人間ですから、Pythonを学びながら、いじりながら、遊びながら、「何をしようかな」って考えています。
そのプランニングの段階が一番面白いんですよ。
──これまで大勢のゲストが出演されましたが、特に印象に残っている方はどなたでしょう。
(FROGMAN)たくさんいらっしゃいますが、例えば、お人柄にインパクトがあって、かつ夢があったのは、伊藤博之さんというロボットエンジニアです。
夢と勇気をもらいましたね(笑)。
それと、「Pepper君」の感情エンジンを作っている東京大学大学院准教授の光吉俊二先生。
映像を通して、人の感情をどのように伝えていくのか、どう映像に乗せていくのかを生業としている僕らのような人間からすると、感情を人工的に作るというチャレンジはとても興味があります。光吉先生の存在感、見た目のインパクトも面白いし(笑)。
声優として興味を持ったのが「リアチェンvoice」を開発しているクリムゾンテクノロジーの飛河和生さん。
リアルタイムで声を変える技術「リアチェンvoice」を使えば、誰でも吉田くんになれちゃうんですよ、僕じゃなくても(笑)。
こうしたテクノロジーが生まれ、どんどん広がっていくことで、僕らのフィールドも広がっていくと思っています。
キャラクターの声を使い分け、「ポジショントーク」を聴きやすく
──吉田くんと言えば、「A.I.共存ラジオ好奇心家族」にはいろんなキャラクターが登場し、それぞれのポジショントークを展開していくのが特徴でもあります。立ち位置を意識されているキャラクターはありますか。
(FROGMAN)FROGMANはあまりテクノロジーに明るくない40代のおじさん。
吉田くんは20代前半のちょっとひねた男の子。彼はAIに否定的で、毒づくことをポジショントークとしています。
最近、AI、AIともてはやされていますが、「これってわざわざAIにさせなくてもいいんじゃない?」と疑問に思うような技術が正直あります。
僕がそう思うってことは、リスナーの方も同じように感じていると思うんです。でも、FROGMANの立場からすると、ゲストの方に対して批判的なコメントは出しづらい。
だから、吉田くんのようなキャラクターがいると、リスナーさんの「ハテナ」を代弁することができるんですよ。
──AI初心者にとって、専門家のお話は難解であることも少なくありません。
そういう話を「通訳」し、分かりやすくリスナーに伝えていく役割も担っていたのではと思います。その点で、苦労されたこともあったのではないでしょうか。
(FROGMAN)そうですね。例えば、ディープラーニングや機械学習、シンギュラリティといった言葉があります。これらの言葉はAIの世界ではすでに常識となっていますが、一般的にはまだまだ知られていませんから、分かりやすく説明する必要があります。
また、一度説明すれば次は説明しなくてもよいというものでもありません。番組は2017年10月から始まりましたが、これが12月になったからもう説明はいらないということにはならない。
ずっと聴き続けてくださるリスナーさんもいますが、初めてその言葉を耳にするリスナーさんもいますからね。だから、私自身が分かっている言葉であっても、ずっと聴き続けているリスナーさんにくどいと思われても、そこはイチから説明していく必要があるんです。
──ありがとうございました! 後編では、FROGMANさんから見た未来のAIの姿について聞いていきます。
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